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前島賢『セカイ系とは何か』 [本‐その他]

話題になっていた本であり、個人的に気になるテーマでもあったので読んでみた。よく書かれた面白い本ではあったが自分が期待した内容とは微妙に異なる本でもあり、その意味では期待外れと言ってもいい。

セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史 (ソフトバンク新書)

セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史 (ソフトバンク新書)

  • 作者: 前島 賢
  • 出版社/メーカー: ソフトバンククリエイティブ
  • 発売日: 2010/02/18
  • メディア: 新書

著者は2000年(当時は18歳くらいか)にNHKの番組「真剣10代しゃべり場」に第1期メンバーとして参加したそうだ。その後、評論家・東浩紀が発行するメールマガジンの編集スタッフを経てライター・評論家として活動を開始、本書が初の単独著書とのこと。本人も認めているが正に『エヴァ』世代の若い論客だ。

本書で取り上げられている『エヴァ』以降ゼロ年代の中盤辺りまでの時期は、いわゆるオタク的作品に対する自分のアンテナが最も低くなっていた。そのため「セカイ系」と分類される作品、あるいは「セカイ系」という言葉自体の定義を体感的に捕らえられない、肌で感じられてはいなかったと自覚している。それを後付にせよ補ってもらえるかと期待して読んだのだが、最初に書いたように少々期待外れだったかなと。

4章立てで構成された本書の終盤、第4章の中で筆者はセカイ系の後のオタク文化に言及する際、現在のオタク市場は拡大し、もはや個人では到底その全体像を把握しきれないほどに多様化してしまっていると書いているが、それはセカイ系という言葉が生まれた時期にも当てはまるのではないか。自分のように一時期オタク的な作品から離れてしまった人間はもとより、膨大な数の作品すべてを網羅したと断言できる人はいないと思う。もちろん例外だってある。アニメ、漫画、ラノベ、ゲーム等ありとあらゆる作品の全てをコンプリートしたと言い切る猛者だっているかもしれないし、それが著者本人かもしれない。であるならば限定された個人の視点からではなく、ある時期、ある年代を俯瞰し体系化することも可能なのかと期待したのだが、残念ながらそこまでのレベルには到達していなかった。

本書では『エヴァ』が従来の「物語消費」から決別した作品で、その後に生み出されたいわゆるセカイ系作品もその流れを継承・発展させており、多くのオタクもそれを支持したと分析している。だが本当にそうか。では『エヴァ』による熱狂のさなか、同人誌やネット上で大量の二次創作が溢れかえったのはなぜだ。『エヴァ』の後半で放り投げられた「物語」を求めた結果じゃないのか。提供されない物語を自分たちで補完しようという試み。その結果生み出された二次創作群はどこに分類されるのか。「物語消費」から決別しなかった受け手の存在に関してはどう捕らえるのか。これに言及せずにセカイ系とはと言われてもなあ。

もう一つ気になった点は、本書で参照されているアニメ、漫画、ラノベ、ゲーム等のセカイ系作品たちがすべて国内のものばかりだったことだ。確かに国内で隆盛したムーブメントなのかもしれない。だがそれらセカイ系作品の作り手・受け手双方が同時期に触れただろう海外の作品、ハリウッド映画だったり海外のSFやミステリ小説、グラフィックノベル等からの影響には一切言及されていない。本書の趣旨から外れてしまうからあえて触れなかったのかもしれない。しかしそのことが本書を日本国内のオタク界隈というひどく狭い領域での自己言及に留まらせ、この『セカイ系とは何か』そのものがセカイ系作品である、というたちの悪いジョークにすらしてしまっている気がするのだ。勿体ないよなあこれは。

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福井健策『著作権とは何か―文化と創造のゆくえ』 [本‐その他]

とあるブログで知り、内容に興味がわいたので手に取ってみた。

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

著作権とは何か―文化と創造のゆくえ (集英社新書)

  • 作者: 福井 健策
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/05
  • メディア: 新書

著者自身もあとがき等で述べているが、軽く触れる程度で終わっている部分もある。だが出来る限り専門用語を避け平易なことばで分かりやすく解説してあり、入門書としては最適なんじゃないか。まあ、自分も偉そうなことを言えるほど著作権を理解してないんだけども。ブログでアニメや映画の感想なんて書き散らしているんだから、最低でもこの本に書かれていることは理解していないとまずいんだろうな。

そもそも著作物とは何か、から始まり、著作権を巡って訴訟となった事例なども紹介されている。勘違いしていたんだけど「ライオン・キング論争」って結局はうやむやのままになってたんだな。てっきり訴訟→和解みたいなケースかと思ったら当事者の直接論争にすらなっていなかったのか。

模倣と盗作の違いはなにか、パロディをどう捉えるか、私的使用のための複製とはどこまで許されるのか等々、いかに自分が曖昧に理解していた(つもり)か再認識できる。著作権は比較的若い法制度なんだそうだ。今後も技術やメディアの進歩や革新に伴って整備し続けることになるんだろうな。

最後になったがこの本を知るきっかけとなったブログを紹介しておきたい。

【パン焼き日誌】(http://d.hatena.ne.jp/bs221b/
アニメ批評とフェアユース」と 「ネット上のアニメ感想にまつわる著作権ガイドラインを考えてみる」という二つのエントリは大変興味深い内容でした(ちなみに「アニメ批評とフェアユース」が先に書かれたエントリ)。

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速水健朗『タイアップの歌謡史』 [本‐その他]

興味のある題材だったので。内容的にはタイトルどおり、タイアップの観点から歌謡史を捉え直そうというもの。

タイアップの歌謡史 (新書y)

タイアップの歌謡史 (新書y)

  • 作者: 速水 健朗
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 新書

発行が2007年なので最新の事例として挙げられているのが、SMAPと資生堂TSUBAKIのタイアップソング『Dear WOMAN』だったりする。これは自分の読んだ時期がずれていただけだが。何箇所か「おお、そんな経緯や裏事情が」と感心させられる部分もあったが、なにしろ戦前、戦後から2006年あたりまでを一気に振り返っているので、駆け足気味な印象は否めない。しかし自分が最も熱心に聞いていた時代の話題では「そうそう、あったなあ、そんな曲」と懐かしく思い出してもいた。世代によって受け止め方も異なって楽しめるかもしれない。テレビから歌番組が軒並み姿を消した後に生まれた若い人たちにはピンとこないかもしれないが。

オタクの端くれとしてはアニソンに関する記述がどの程度あるか興味があったんだが、さすがに分量としては微々たるものだった。1993年のアニメ『SLAM DUNK』における、いわゆるビーイング系アーティスト(大黒摩季、WANDS、ZARDなど)の起用、『頭文字D』等でのエイベックス・グループ(avex mode)、あるいは『機動戦士ガンダムSEED』等へのソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の参入に関する言及があったくらいか。ビーイング系ねえ、多かったよなそういえば。

ここからは本の内容とは関係のない余談みたいのもの。アニメとのタイアップはもっと早い時期からだった印象なんだよな。個人的には曲名に番組タイトルが入ってなかったり、歌詞にも関連するキーワード(キャラや必殺技の名前とか)が使われておらず、これまでアニメソングとは縁の無かった歌手(アイドルとか)に歌わせたものは、タイアップに含めてもいいんじゃないかと思っている。ときどき思い返すものの自分の中で答えが見出せないものに、「主題歌を新人アイドルのデビュー曲とし、なおかつ主役やサブキャラの声を担当させる」スタイルは何が最初だったのか、というのがあって。

真っ先に思い浮かぶのはやはり「ぴえろ魔法少女シリーズ」なんだよな。第1作目の『魔法の天使クリィミーマミ』が1983年か。じゃあ『超時空要塞マクロス』の方が早いのか、1982年だものな。リン・ミンメイを演じた飯島真理が歌ったのは劇中歌だし、彼女をアイドルと捉えていいのかは分からんが。『マクロス』以前というのが自分には思い浮かばないんだが、絶対に見落としてるはずだ(そんなことに自信を持っても無意味だが)。他には同じ時期に『風の谷のナウシカ』や『アリオン』でイメージガールをコンテスト形式で選び、やはり主題歌等(『ナウシカ』の場合はイメージソング)を歌わせるというケースもあった。そういえば「ぴえろ魔法少女シリーズ」も『ナウシカ』や『アリオン』も徳間がらみだな。

アイドルが全盛だった時代ならでは、ということなのか。むしろアイドル界隈の事情に詳しい人に聞いた方が早いのかもしれないな。ある時期から声優(特に女性)のアイドル化へとシフトしていったはずだが、この辺りも自分の記憶ははっきりとしない。演技に関してはずぶの素人であるアイドルを起用するくらいなら、いっそ声優さんをアイドルにした方が早くね? きっとオタクな連中にとっても願ったり適ったりだろ...という判断があったのかどうかは知らんが、これは完全に定着し今に至ると。

取りとめのない内容になってしまった。いずれちゃんと調べてみよう(変なオチ)。

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森達也『放送禁止歌』 [本‐その他]

興味を引かれ手に取った。面白い本でした。

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

放送禁止歌 (知恵の森文庫)

  • 作者: 森 達也
  • 出版社/メーカー: 知恵の森
  • 発売日: 2003/06/06
  • メディア: 文庫

著者自身が企画しディレクターを務めたドキュメンタリー「放送禁止歌 ~歌っているのは誰?規制しているのは誰?~」の製作過程がまとめられ書籍化されたもの。自分が読んだ文庫版は2003年に加筆修正の上、刊行されたようだ。多くの曲はなぜ放送されなくなったのか、その根拠は、そして規制したのは誰なのか。それらを放送禁止歌の歌い手や放送関係者等への取材によって明らかにしていく。

放送禁止歌は通称のようなもので正確には「要注意歌謡曲」というそうだ。1959年に民放連(日本民間放送連盟)が発足させた要注意歌謡曲指定制度に基づくものだが、制度自体に強制力はなく当然罰則もない。あくまで放送局の自主規制なのだと。しかも1988年には制度そのものが実質的に消滅し効力を失っていたという。この辺りはなかなか興味深かった。他には放送禁止に対する日本とアメリカの差について著者がデーブ・スペクターと対談を行っている第3章が面白い。そして放送禁止歌とはある意味で密接な関連を持つ部落差別問題にもきっちりと踏み込んでいる。ドキュメンタリーの中でも解放同盟への取材を行っていたが、書籍化にあたって改めて部落差別問題について取材を行ったという第4章は特に興味深い内容だった。

元になっている番組は1999年5月22日深夜(23日の早朝と書くのが適当か)にフジテレビの「NONFIX」という枠で放送されたらしい。ちなみにWikipediaの記述では1999年11月に放送とある。約半年の差はなんだろ、再放送とかなのかな。自分は番組を見た記憶がなく、一応ダメもとで検索してみたらありました、YouTubeに。便利な世の中になったもんだ。全部で6分割の動画だが以下に張っておく。興味があれば。

YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (1/6)

YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (2/6)
YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (3/6)
YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (4/6)
YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (5/6)
YouTube - 森達也『放送禁止歌』ドキュメンタリー (6/6)

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S-Fマガジン2009年7月号 [本‐その他]

久しぶりにS-Fマガジンを購入した。先日、夭折した伊藤計劃の追悼特集が組まれ、第四長編(MGSのノベライズを除けば第三長編)となるはずだった遺稿『屍者の帝国』が収録されると知ったからだ。

S-Fマガジン 2009年 07月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2009年 07月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2009/05/25
  • メディア: 雑誌

舞台となるのはフランケンシュタインの技術が全欧に普及し、死人の労働市場がある「もう一つの十九世紀」。物語の語り部は若き日のジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の彼が女王陛下の諜報員として謎を追い世界を巡る...という内容になる予定だったそうだ。もうこのプロットを聞いただけでぜひ読みたい、いや、「読みたかった」と思わずにいられない。

今回掲載された遺稿は本人曰く「試し書き」であり、完成しただろう作品には使われない可能性もあったそうだ。さしずめパイロット版といったところなのかも知れない。この後、どんな世界が描かれ展開していったのか、自分などが精一杯想像をめぐらせたところでおそらく輪郭すらイメージすることは不可能だろうし、完成されたものを読めないことが悔しくてならない。しかし自分を含めたファンにとってはこれが最新作には違いなく、たとえその一部であっても公表されたことを喜ぼう。

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ポプラ文庫 少年探偵シリーズ [本‐その他]

大金塊―少年探偵 (ポプラ文庫クラシック)

昔の装丁で復刊されたと聞いていたがいやあ懐かしい。小学生時分に図書室にあった全巻を読破した、という人は多いんじゃないか。映画『K-20 怪人二十面相・伝』公開に伴う出版なんだろうな。Amazonへのリンク画像は怪人二十面相が登場しないという意味では異色作の『大金塊』という作品。シリーズ中でも大好きな作品で、何度も借りては読み、最後には親に頼み込んで買ってもらったなあ。以前にも同じポプラ社から文庫版が刊行されていたようだ。中身は同じようだがやっぱりこの表紙じゃないとね。

近所の本屋で探したところ児童書のコーナーに平積みされていた。手に取ってぱらぱらと中身を見たが本当にオリジナルに忠実な復刻だ。表紙のイラストだけじゃなく本文の挿絵も、ああ、目次の部分まで同じだ、ポプラ社すごいよ、やるなあ。今回は6冊が刊行されたようだがシリーズ全46冊が順次刊行されると思っていいのか。でも順番がばらばらだし、もしかするとこの6冊だけなのか。今回取り上げた『大金塊』以外にも好きなタイトルがあるからぜひ全巻刊行してほしいけど。大半のカバー絵を担当した柳瀬茂の絵も良いが、武部本一郎が担当した『仮面の恐怖王』、『灰色の巨人』はぜひ欲しい。自分にとっては火星シリーズのデジャー・ソリス以前に武部本一郎の絵に魅了された思い出深い本だし。

暗号文を解読して隠された財宝を探すという内容に小学生だった自分は胸を躍らせた。立ち読みした本文はさすがに大人になった自分には少々つらい。レジに行きかけて思いとどまったが、うーん、もう一度通して読んでみたいな。やっぱり今度買いに行こう。このシリーズはお約束のしめ方がある。二十面相を退けたあとみんなで叫ぶんだ。「明智先生ばんざーい!! 小林団長ばんざーい!! 少年探偵団ばんざーい!!」...てね。

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