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映画『BALLAD 名もなき恋のうた』 [映画感想‐邦画]

レンタルで視聴、この作品のオリジナルである『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』が好きな作品ということもあり、どうしても先入観を拭えず公開当時には観に行くことができなかった。で、観終えて思ったのはアニメの実写リメイクとしては大健闘だったかなと。
※参考までに以前書いた感想⇒ 映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』

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アニメ版の感想でも書いたが、原案に相当する『アッパレ!戦国大合戦』はとても良く出来た映画ではあるが「クレヨンしんちゃん」という枠組みの中でこそ成立しており、その要素を欠き観客との間にあった「しんちゃんや野原一家だからここまで(の無茶)はOK」という約束事が通用しない中で、オリジナル脚本と大筋を変えないまま果たして成立するんだろうか、という不安。これはやはり悪い形で出てしまったようだ。

※またしても長くなったので畳みます。

基本的なストーリーは細かな変更を除けばビックリするほどアニメ版に忠実だ。山崎貴監督をはじめスタッフのアニメ版に対する敬意だったのか。リメイク版オリジナルな追加要素もありそれはそれで有効に機能しており、そうであればアニメ版の筋立てをなぞることにこだわらずもっと大胆に改変しても良かったのになあと思えてしまう。もちろんアニメ版を知りファンでもある自分と、まっさらな状態でリメイク版を観た人では受け止め方そのものが違うし単純に比較できるものでもないが、原案への敬意が逆に足かせとなったように感じられた。

キャスト陣について。井尻又兵衛役の草なぎ剛も頑張っていたと思う。意外だったのは彼って思っていたよりは背も低く細いんだね。そのため「鬼の井尻」と異名をとる威丈夫な侍大将には見えないんだ、残念ながら。そこは惜しまれる。ヒロインでもある廉姫役のガッキーこと新垣結衣も良かった。ただし彼女の場合、可愛らしさが先にたって凛々しさが不足してしまった感は否めない。ここは重要なポイントかな。あと草なぎ君とは全く逆に彼女は背がとても高い。下手をすると周囲にいる侍たち男衆よりも。スタイルの良さがあだになってしまった。この映画におけるしんちゃん、真一少年とその両親については後述したい。ちなみに彼らは川上一家で、残念ながら妹のひまわりと愛犬シロは登場しないです。

VFX担当は白組、城や合戦シーンでの大軍勢も合成らしいが違和感は全く無い。この辺りはお見事だ。もしも今後、大規模な合戦シーンのある時代劇が制作されるならこの手法もありなのかなとは思った(そればっかりも嫌だけど)。殺陣のシーンも頑張ってるんだが、クライマックスの攻防や又兵衛 vs 敵の大将・大倉井高虎との一騎打ちは正直ちょっと辛かった。これはもう仕方が無いことと諦める以外にないのかもしれない。

さて、ここから不満というか疑問というか、気になった部分を書く。アニメと実写では見せ方が当然違うことは承知のうえで、『アッパレ!戦国大合戦』から削った部分と、同時にその理由が分らずフォローも十分とは思えない部分がある。一つは戦国時代に真一少年(以下しんちゃん)が誘われるきっかけともなった廉姫の夢、これをしんちゃん以外の家族が見ないのだ。だから後にしんちゃんを追って両親が戦国時代に跳ぶあたりが(理屈はともかく)心情的に納得いかない。両親と戦国時代との繋がりが弱いんだね。加えてしんちゃんと両親の描かれ方だ。家族構成等はさておき、普段の彼らがどんな親子なのか、両親がしんちゃんを(またその逆も)どれだけ大切に思っているかが見えない。この辺りは尺の都合もあるんだろうが不十分で、家族としての結びつきが凄く希薄に感じるのだ。そのため両親が「戦国時代へ(理由は分らないが)迷い込んだ息子を助けに行く」という決断に説得力が無い。なにせ野原一家とは違い川上一家は観客にとって初めて出会う人たちなのだ。「しんちゃん達だから」という観客との共通認識(あるいは約束事)が通用しない以上、尺を割いてでも彼らがどんな人物・家族なのかをきっちりと見せておくべきだったと思う。それが観客の共感を呼ぶのだから。

また、しんちゃんと又兵衛との間で交わされた金打(きんちょう)のシーンが無いんです。もちろん何から何までアニメ版と同じにしろと言うつもりは無いが、これは外しては駄目なんじゃないのかと思えてなあ。だからしんちゃんと又兵衛の関係がやはり薄まってしまい、そのため廉姫との恋路に口出しする部分やクライマックスでの必死の訴えが全然響かない。戦国時代に現代のヒューマニズムを持ち込むこまっしゃくれたクソガキにしか思えない。さらに又兵衛と廉姫の関係もまた同様で、どれだけ二人が互いに想いあってるかがさっぱりなのだ。リメイクにあたり二人の恋路を中軸としたはずなのにだ。失礼ながら微妙な表情やしぐさでそれを表現できる演者ではないんだから、二人に関するシーンをせめてひとつくらい追加したほうが良かったんじゃないか。

最後にもうひとつ(これは無いものねだりかもしれない)。このリメイク版でのしんちゃんは冒頭で彼にとっては悔恨となる出来事に遭遇し、それがクライマックスやラストにおけるキーワードにもなってる。だがその前振りをしておきながら投げっぱなしなのはどうしてだ。はっきりと描かずに匂わす程度に留めるのも一つの見せ方だと理解はする。するんだが、やっぱり〆としちゃあスッキリしない。きっちりと落とし前をつけさせなきゃ。

文句ばかり書いてしまったが、これは自分がアニメ版のファンであり、いけないと思いつつどうしても比較しながら観てしまったためだ。最初にも書いたがアニメの実写リメイクとしては大健闘だったのは間違いないし、まもなく公開される山崎監督による実写版『ヤマト』も期待したいと思う。

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