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映画『容疑者Xの献身』 [映画感想‐邦画]

レンタルで視聴。あまり期待していなかったんだが思ったより楽しめた。

容疑者Xの献身 スタンダード・エディション [DVD]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD

原作も読んだしスタッフ・キャストが同じTVドラマも見ていたが、どうにも踏ん切りがつかずレンタル店の棚に並んでからも手を伸ばせなかった。理由は二つ。直木賞まで受賞した原作に自分はさほど高い点を付けていなかったこと。また好評であり自分もそこそこ楽しんだTVドラマが回を追うごとに失速し、最終回では「そりゃねーだろ」という残念な結果に終わったからだ。しかし先入観というのはどんな場合も良くないのだなと再認識した。TVドラマから入った、特に自分の母親のように「福山さん格好良いよね」というミーハー丸出しな観客も、それよりはずっと厳しい見方をするだろう原作ファンも、この出来なら満足しつつ映画館を後にしたんじゃないか。

前半は少しもたつく。特にバッサリ削ってしまえばよかったのにと感じたのはドラマのファンへの目配せ部分だ。重要な役どころではない渡辺いっけい、品川祐などは無理に出すことはない。友情出演枠のリリー・フランキーとかもっといらない(まあそれを言い始めると柴崎コウも、となってしまうが)。ファンサービスも大変だ。しかしそれでもこの映画がドラマの2時間スペシャル以上のものとなったのは堤真一の功績か。難しい人物像を好演していた。欲を言えばもう少し華の無い役者さんが良かったが。多くの人が指摘するように頭脳明晰にして容姿端麗な探偵ガリレオの対照となるためには堤真一では二枚目過ぎるのだな。無理に冴えない中年男を演じるからやや役を作りすぎな印象になる。無いものねだりかなこれは。

男性と女性では見るポイントが異なる映画だなとも思う。『容疑者Xの献身』に用いられるキーワードは「純愛」らしい。献身的で見返りを求めないことを指して「純愛」というならまあそうなんだろう。でも男女間の愛ではないよな。むしろ絶望から救済してくれたものへの殉教に近い気すらした。それだけに悩ましい部分もある(これ以降少々ネタバレかもしれません、念のため)。

悩ましいのは構成上あの母娘の日常を描くことが制限されてしまうことだ。慎ましやかな彼女たちの幸せを守ることこそが殉教者たる容疑者X氏の動機そのもので、それはミステリであるこの映画の肝に当たる。さじ加減を誤れば謎解きどころではなくなる危険もあるから大変難しいけれど。せめて事件発生以前に彼女たちが、そして容疑者X氏がどんな暮らしぶりだったかをもう少し見せてくれていたら(先に書いたファンサービスの部分を削ってでも)。容疑者X氏の絶望が如何ほどだったか描く尺が無いなら、せめてX氏が守ろうとしたものが何だったのかを事前に見せておくべきだった。クライマックスの謎解きパートにおける短い回想だけではやはり弱いと思う。語り過ぎるのもマイナスだとは理解するが。

自分としてはそんな「純愛」とやらより「天才の孤独」に興味が向いた。湯川先生が容疑者X氏から「自分には友達なんかいない」と言われた時の心境。唯一対等に渡り合え刺激を与えてもくれる存在を失うこと。それに図らずも加担してしまったこと。彼はまた独りになってしまった。そんな湯川先生がブラック・ジャックと重なってしまうんだな。ブラック・ジャックも天才ゆえに孤独だったが彼にはピノコがいた。では湯川先生には? あの女刑事は探偵ガリレオにとってのピノコになってくれるのかしら。

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